人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
*********************************
皆さまの施設では横隔膜エコーをされてますでしょうか?
なんとなく、横隔膜エコーって聞いたことがある!興味あるけどやり方が分からない!横隔膜エコーなんてうさんくさいよ~!ってそんなあなたに新しい論文を御紹介します。
スペインのDot Ireneらは横隔膜エコーと患者さんの横隔膜の生検を比較しました。35人の人工呼吸管理された臓器提供者と対照群5人の横隔膜エコーと生検を採取しました。人工呼吸管理された臓器提供者の全てで対照群よりも生検での横隔膜の断面積は小さかったようです。一方でエコーではその74 %で横隔膜エコーでの横隔膜の厚みが薄かったようです。
74%??高いのか、低いのか… って感じもするかもしれませんが、自分はやはり横隔膜エコーは横隔膜萎縮の評価に有効と感じました。横隔膜って、2mm程度の厚みの臓器です。10 %萎縮するということは0.2 mm萎縮するという極限の世界なのです。生検もそうです。少し斜めに断面がきれていると大きさがかわります。個人的にはエコーで74%の患者で正確に横隔膜萎縮を評価できたというのは横隔膜萎縮におけるエコーのPossibilityを感じます。
この著者たちがどれくらいのエコートレーニングをしていたかは記載がありませんが、エコーでの横隔膜の評価にもトレーニングが必要となります。横隔膜エコーを始めてみませんか?人工呼吸管理された患者のみでなく、様々な患者で有用です。横隔膜萎縮、横隔膜機能、抜管予測など様々な評価が可能です。2 mmの極限の世界ですが、可能性は無限大です。今後の日本からの横隔膜エコーの報告を期待しています!
文献リンク
Association between histological diaphragm atrophy and ultrasound diaphragm expiratory thickness in ventilated patients
https://jintensivecare.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40560-022-00632-5