日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【5回立ち上がりテストの基準値】運動器最新エビデンス

新コーナー「整形外科・運動器最新エビデンス」の最新情報をお届けします!このコーナーでは、運動器リハビリのエキスパートである海津先生が“これは面白い”という、整形外科・運動器にまつわるエビデンスを紹介。数値や統計の専門用語が出てきますが、このシリーズで、かみ砕いて解説してくれるので、少しずつ慣れていくように、是非、読んでみてください。

今回は「5回立ち上がりテストの基準値」という内容を紹介します。

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臨床で機能評価する際、座位からの立ち上がりテストは良く行うと思いますが、患者さんから「私って遅いですか?」「普通は何回くらいできるものなんですか?」と聞かれたとき、意外と自信をもって説明できる人は少ないのではないでしょうか。今回紹介する研究は、そんな疑問に見事答えています。

ポルトガル人の成人546人を対象に、5回立ち上がりテストの基準値と参照式を提示しています。年齢や性別を問わず活用できるデータであり、臨床における評価や説明に大きな助けとなりそうです。

健常者546名が5回立ち上がりテストを3回実施し、年齢性別の基準値を算出しました。5回立ち上がりテストの成績では、以下のような年代別、男女の標準値が提供され、概ね若年層ほど速く、加齢とともに時間が延びていく傾向が確認されました。

・18-29歳:男性が6.11秒、女性が6.19秒
・30-39歳:男性が5.31秒、女性が5.77秒
・50-59歳:男性が7.15秒、女性が8.56秒
・70-79歳:男性が11.61秒、女性が11.23秒
・80歳以上:男性が16.46秒、女性が14.97秒

このような年代別・性別の詳細なデータは、個々の患者さんの結果を比較・説明するうえで非常に有用で、患者さんに対して、主観的な「速い/遅い」ではなく、客観的な数値で現在の能力を説明できるようになります。ざっくりいえば、10‐20代で6秒、30代で5.5秒、50代で8秒、70代で11秒、80代で15秒と覚えておきましょう。また、予測式を使えば、年齢やBMI、活動量を加味した数値を参照して、具体的なフィードバックが可能になります。

下記原典では、5回立ち上がりテストの予測式の活用方法も掲載されていますので、是非、ご覧になってみてください。今後は日本人における同様のデータ構築も求められると思いますが、本研究の目安は、現時点でも実用的な参考値として臨床で活用できそうです。

■ 文献情報:
Vilarinho, Rui, et al. “Reference values for the 1-minute sit-to-stand and 5 times sit-to-stand tests to assess functional capacity: a cross-sectional study.” Physiotherapy 124 (2024): 85-92.
https://doi.org/10.1016/j.physio.2024.01.004

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