
頸椎症性脊髄症は手術で圧迫を解除しても、術後にふらつきや歩行の不安定さが残り、離床がスムーズに進みにくいことがあります。ここで大事なのは、しびれ“だけ”、バランス障害“だけ”で評価しないことです。「しびれ」と「ふらつき」がセットで出ているとき、感覚入力の不確かさに加え、外乱への反応や姿勢戦略まで崩れている可能性があります。そんな“しびれ×ふらつき”の組み合わせに対して、バランス機能を底上げする方法として興味深い報告が届きました。
この研究では、術後頸椎症性脊髄症患者さんに対して、外乱刺激を用いたバランストレーニングを4週間実施し、バランスと機能の変化を調査しています。術後頸椎症性脊髄症患者15名と健常成人14名を比較し、頸椎症性脊髄症群は外乱トレッドミルを用いたバランストレーニングを受けました。その結果、頸椎症性脊髄症群では、立位の重心動揺や外乱に対する反応、歩行速度、バランステストの数値が有意に改善したということです。つまり、しびれが残っていても、ふらつきに直結する姿勢反応は改善できる可能性が示された、と捉えられます。一方で、疼痛や障害に関する質問票は、トレーニング後も有意な変化がみられませんでした。また、トレーニング前にみられた健常群との差は、トレーニング後には有意差がみられなくなったと報告されています。
術後の離床では「歩ける・歩けない」だけでなく、しびれ×姿勢制御という“評価の組み合わせ”でリスクを捉え、外乱への反応やバランス戦略まで含めて底上げできる可能性がある、と感じる研究です。下記原典では、外乱刺激を用いたバランストレーニングで、どの指標が具体的改善したのかが整理されており、術後頸椎症性脊髄症の“離床の質”を考えるうえで参考になります。是非、ご覧ください。
Cheng Y-S, et al. Perturbation-Based Balance Training in Postoperative Individuals With Degenerative Cervical Myelopathy. Frontiers in Bioengineering and Biotechnology. 2020;8:108. doi:10.3389/fbioe.2020.00108
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