日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【離床にEITは必要?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「離床にEITは必要?」という内容を紹介します。皆さんは、EITってご存知でしょうか。リハビリの機器と思った方はEMS(Electrical Muscle Stimulation)ですね。体組成計と思った方はBIA(Bioelectrical Impedance Analysis)ですね。CTと思った方はCT(Computed Tomography)ですね。そのままですが。

EITは実はこの三つをあわせたような機器なんです。EITのEはElectricalで電気です。IはImpedanceで電気抵抗、TはTomographyでCTのように可視化する技術のことをいいます。

つまり、EMSのように微弱な電気を流して、体組成計のように電気抵抗を評価して、それをCTのように画像にします。うーん、逆にこんがらがりますね(笑)

直接機械を見た方が早いですね。
https://www.medtronic.com/covidien/ja-jp/products/electrical-impedance-tomography.html

EITは胸部にバストバンドのように巻くことで、胸部の電気抵抗を評価して、それを画像化してベッドサイドで肺の動きを評価することができます。つまり、無気肺のように肺が動いていないところと、肺が動いているところが明らかとなるのです。

このEITは、離床にも有用でしょうか。フランスのBayatらは、EITを「ポジショニング」「人工呼吸器からの離脱」「呼吸理学療法」でどのように活用できるかをまとめています。

まずポジショニングでは、仰臥位より腹臥位の方が背側の無気肺が解除され、換気が改善することが、EIT画像としてもはっきり示されています。ベッドサイドで「どの姿勢でどの部位の肺が広がるか」を見ながら体位を選べるイメージです。

人工呼吸器離脱では、自発呼吸試験にEITを組み合わせることで、全体不均一性指数や呼気終末肺インピーダンス、腹側・背側の換気バランスなど、肺の状態を定量的に評価できます。こうした指標を加えることで、単純な離脱試験のみの場合よりも、より確実な離脱につながる可能性が報告されています。

呼吸理学療法の場面でも、EITは有用とされます。重症患者さんの離床で無気肺が解除され、肺が広がっていく様子や、振動や排痰介入後に換気が改善していく様子をリアルタイムで確認できます。気管切開患者さんでは、スピーチバルブ装着により肺が広がる変化を捉えた報告もあります。

とはいえ、呼吸理学療法や離床におけるEIT使用の報告はまだ多くなく、今後の研究が期待される分野です。「聴診で十分では?」という意見もあるかもしれませんが、心臓でエコーが重要な役割を果たしているのと同じように、肺も画像として“動き”を捉えられるようになることで、新たな評価の視点が開けるかもしれません。

EITは、今のところ「絶対必須のアイテム」とまでは言えないかもしれませんが、うまく使えば離床や研究の幅を確実に広げてくれるツールになりそうです。離床にEITをどう活かしていくかは、まさにこれからの私たち次第ですね。

Lung electrical impedance tomography during positioning, weaning and chest physiotherapy in mechanically ventilated critically ill patients: a narrative review
https://annalsofintensivecare.springeropen.com/articles/10.1186/s13613-025-01526-z