
人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「PADISガイドライン4つのポイント」という内容を紹介します。PADISガイドラインというのをご存知でしょうか。日本語ではパティスガイドラインといわれますね。米国集中治療医学会が出している、痛み、不穏、せん妄、不動化、睡眠の頭文字をとったガイドラインです。ペディスという人もいますが、いい間違えたら大変なことになりそうなのでパディスと呼ぶようにしてます。てへへ。
今回は米国集中治療医学会から、このPADISガイドラインの一部を改訂したアップデート版が報告されましたので共有します。アップデートされたのは以下の5つです。
- 不安の治療にベンゾジアゼピンを推奨しない
- プロポフォールよるデクスメデトミジンを推奨
- せん妄の治療に抗精神病薬を推奨も否定もしない
- ICU入室患者で強化リハビリ・離床を実施することを提案する
- メラトニンを使用することを提案する
この中で離床に関わってくるアップデートは4番のリハビリ、離床強化ですね。最近はNEJMやLancet respiratory medicineで報告された、強化リハによる有害事象のこともあり、強化リハの推奨がどうなるのか少し心配もしておりましたが、やはり推奨は推奨です。
急性期の強化リハはやはりICU-AWを予防し、身体機能やQOLを改善し、自宅退院する患者も増えます。生存率までは有意に改善させないものの、人工呼吸期間、ICU滞在日数、入院日数を短縮させます。チームストライアルなどであったような有害事象を考慮しつつも、強化リハビリをするメリットの方が上回るとまとめられています。
わからないことは4つdose, timing, duration, methodです。つまり最適なリハビリの量、タイミング、期間、方法はこれからの課題です。Doseをどーするかってことですね(笑)
Executive Summary of a Focused Update to the Clinical Practice Guidelines for the Prevention and Management of Pain, Anxiety, Agitation/Sedation, Delirium, Immobility, and Sleep Disruption in Adult Patients in the ICU
https://journals.lww.com/ccmjournal/fulltext/9900/executive_summary_of_a_focused_update_to_the.449.aspx



