
人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「離床にはプロテイン!?」という内容を紹介します。
みなさんは、筋トレをしていて、食事が足りないと感じた時は、どうしていますか?いきなりステーキで1ポンドのステーキを食べますか?プロテインを飲みますか?
そうです、とにかく筋肉をつけるには蛋白質が必要です、それは、急性期の患者さんでも同じですね。身体機能障害を予防するためには蛋白質が重要ですが、この蛋白質が足りない時に、十分補充できていますでしょうか。
オランダのPaulasさんは、この蛋白質補充の効果を無作為化比較試験で調べました。72時間以上ICUに入室する成人患者59人が対象となり、なんと対象患者が少なく、15人のところで研究は中止になったようです。なので、15人という限られた患者さんが対象ですね。介入群は22 gの蛋白質を追加投与されました。残念ながら蛋白質の追加投与で、筋力や身体機能の改善は認めなかったようです。集中治療後症候群(PICS)の認知・精神機能のアウトカムもみていますが、差はなかったようです。
今回はサンプルサイズが十分でなかったかもしれませんが、ありそうでなかった研究で面白いですね。日本で栄養剤を変更するのではなく、追加の蛋白質を投与しようと思ったらミルクプロテイン(アイドゥ)、アバンド(アボット)などがあります。ミルクプロテインは1包に蛋白質が10g、アバンドは1袋14gです。
この前、アバンドを飲んでみたのですが、オレンジやストロベリー味もあって意外と美味しかったです!今回の研究は高蛋白質の栄養剤を使用するのではなく、蛋白質のみ補充する方法です。いろんな理由でそのままの栄養剤でいって、蛋白質だけ増やしたいことってありますよね。離床にプロテインの追加が良いといいたいところですが、今のところは今後の研究に期待です!
Feasibility Challenges in Protein Supplementation Research: Insights from the convalescence of functional outcomes after Intensive Care Unit Stay in a Randomised Controlled Trial
https://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(25)00021-4/abstract