日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【一石三鳥のプランク運動】運動器最新エビデンス

新コーナー「整形外科・運動器最新エビデンス」の最新情報をお届けします!このコーナーでは、運動器リハビリのエキスパートである海津先生が“これは面白い”という、整形外科・運動器にまつわるエビデンスを紹介。数値や統計の専門用語が出てきますが、このシリーズで、かみ砕いて解説してくれるので、少しずつ慣れていくように、是非、読んでみてください。

今回は「一石三鳥のプランク運動」という内容を紹介します。

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コアトレーニングの中でも、「プランク運動」は代表的な1つですよね。プランク運動とは、主に体幹を鍛えるための筋トレで、うつ伏せになった状態で前腕と肘、つま先を地面につけ、その姿勢を一定時間保持するエクササイズです。今回は、プランク運動が、体幹を鍛えるだけではなく、呼吸機能や自律神経に与える影響を調査した、興味深い研究を紹介します。

この研究では、20~24歳の若者61人を対象に、週3日、1回15分のプランク運動を12週間行い、運動機能、呼吸、自律神経に与える影響について調査しています。その結果、運動機能では、筋肉量が平均して約6%増加、脂肪量は約4%減少し、特にウエストとヒップの比率が改善し、全体的な体型にもポジティブな影響が確認されました。呼吸機能では、ピーク呼気力が約24%増加し、1秒間の強制呼気量は約14%アップし、安静時の呼吸数は約9%減少し、より効率的な呼吸が可能になりました。自律神経への影響では、安静時の心拍数が約2%減少し、交感神経活動が5%低下する一方で、副交感神経活動が5%増加しました。

以上の結果から、プランク運動は、腹筋だけでなく、呼吸や心身のバランスにもポジティブな影響を与えることがわかりました。体幹を鍛えることで呼吸筋が活性化され、効率的な呼吸が可能になり、自律神経の調整効果により、ストレスの軽減やリラクゼーション効果も期待できます。日々の運動習慣や、患者さんのアプローチに是非、このプランク運動を取り入れてみてはいかがでしょうか?その効果は、一石二鳥どころか、健康とフィットネスの大きな飛躍をもたらすかもしれません!

■ 文献情報:
Park, S., Kim, Y.‐C., & Jee, Y.‐S. (2024). Plank exercise improves respiratory capacity through positive changes in body composition, abdominis function, and autonomic nerves’ activities. European Journal of Sport Science.
https://doi.org/10.1002/ejsc.12086