人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
*********************************
みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「喉がかわいちゃ離床ができない」という内容を紹介します。皆さん、患者さんの喉の渇き、つまり口渇はどのように評価してますでしょうか。
喉が渇いた状態ではなかなか離床が進まず、実は、離床が進まない原因として口渇があったりします。実際には嚥下機能や挿管状態などによって、口渇自体は改善が難しいこともありますが、口腔ケアやさまざまな取り組みで口渇は軽減できます。少なくとも口渇を評価してみてはどうでしょうか。今回はそんな口渇評価スケールに関する報告です。
この研究では、中国のグループがデルファイ会議という方法で口渇のスケールを作成しました。そして実際にその口渇スケールの信頼性と妥当性まで評価しています。実際のスコアは以下のものになります。それぞれの項目を0-3点で評価します。
口唇の保湿と乾燥
口腔粘膜の状態
舌の状態
痰の性状
唾液の量と粘稠度
ドライマウスの症状
患者の口渇を示唆する行動
点数が高いほど口渇の程度がひどく、最低0点から最高21点になります。
0点 口渇なし
1-3点 軽度の口渇
4-6点 中等度の口渇
7点以上 重度の口渇
つまり、口腔粘膜がとても乾燥していて(3点)、舌が乾燥していて(2点)、サクションチューブが詰まるほどの粘稠な痰(2点)があれば、7点で他のスコアが何であっても重度の口渇になります。スコアの詳細を文字で書くのはなかなか難しいく、無料で読めますので、下記のリンクから是非、論文をみてみてください。
この研究では、このスコアの信頼性も妥当性も高かったことが確認されているので、さっそく臨床でも使用できますね。痛みが離床の阻害因子になることは有名ですが、口渇も離床阻害因子になりえますので、口渇も適切に評価して離床につなげていきたいですね。
喉の渇きは辛いですよね。今日もコーラが飲みたい…..
Construction of an assessment scale for thirst severity in critically ill patients and its reliability and validity
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocn.17385