人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
*********************************
みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「離床の効果はどのように評価する?」という内容を紹介します。離床の効果を判定する時に、どのような項目を評価するのが良いでしょうか。
その疑問の答えとなる研究が、ヨーロッパのグループから報告されました。この報告では、研究者58人、臨床家247人、患者と家族24人の合計329人が協力して、リハビリテーション介入の効果評価に関する推奨を作りました。デルファイ会議という、何度も会議を重ねて合意に至るプロセスが採用されました。なんか最近デルファイ会議は流行りですね。
31のアウトカムのうち、推奨に至ったのは身体機能、ADL、生存、健康関連のQOL、運動能力、認知機能、感情と精神状態、フレイルでした。逆に合意に至らなかったアウトカムには、人工呼吸期間、職場復帰、疲労感、呼吸機能、嚥下機能、コミュニケーション能力、経済状況、睡眠などさまざまなものが含まれました。
今回はフレイルがアウトカムに含まれたのが興味深いです。フレイルに関しては、患者と家族の95%が重要と評価したのに対して、臨床家は74%と大きく乖離がありました。フレイルというと、臨床家からすると筋肉の衰えも含みますし、身体機能の低下も含みますし、少しあいまいな定義のようにも思えますが、患者さんからみるとすごく重視されてるんですね。おそらくフレイルという言葉が誰でも知るようになって、患者さんにも理解しやすいのかもしれないですね。
いずれにしても、研究を社会に還元していくためには、このフレイルというのも含めると多くの方が興味を示してくれるかもしれません。これから研究などを考えている方には重要な報告ですね。
PRACTICE: Development of a Core Outcome Set for Trials of Physical Rehabilitation in Critical Illness
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39189977/