人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「グリムはグリム童話じゃない?」という内容を紹介します。皆さん、グリムというのをご存知でしょうか。ヘンゼルとグレーテルと思ったあなたはおちゃめで素晴らしいです。でも違います!
医療の世界でグリムというのはグリム基準のことです。栄養士さんにはすっかり馴染みのあるスコアになってきましたが、医師や理学療法士さんを含めて知らない人もまだまだ多いとは思います。大丈夫です。今日、知っちゃいましょう!
グリム基準というのは低栄養かどうかを判断する基準です。世界の複数の何とかペンペンという栄養学会が集まって作成されたので、世界中で普及し、日本でも診療報酬に含まれそうな勢いです。グリム基準は簡単にいうと体重、BMI、筋肉量などの現状と、炎症などの状態の2つで判断します。体重やBMI、筋肉量が低下しているというのは分かりやすいですが、炎症というのはどれくらいを基準にしたらいいかはっきりしないですよね。
そこで今回の報告がありました。デルファイ法という合意形成のために会議を繰り返す方法を用いて決定されました。この論文は国際グループの論文です。炎症というのは検査値が絶対必要ではなく、疾患、感染、外傷などから炎症があると判断できるようです。しかし、炎症がはっきりしない場合は、CRPが1 mg/dL未満の場合は軽度の炎症、1-5 mg/dLの場合は中等度の炎症、 5 mg/dLを超える場合は重度の炎症で、急性の場合は中等度以上、慢性の場合は軽度でも臨床症状とあわせて、炎症があると判断するようです。
グリムで低栄養と判断されれば栄養介入が重要なことはいうまでもなく、やはり離床も積極的に頑張る必要があると思います。栄養は離床を伴ってこそ効力を発揮するものだからです。なので、離床にかかわる全ての人がグリム基準とはどういうもので、どのように判断するかは知っておいた方が良いと思います。グリムはグリム童話でないんですよー。
Guidance for assessment of the inflammation etiologic criterion for the GLIM diagnosis of malnutrition: A modified Delphi approach
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38221842/