日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【つりあげでリハビリ!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

*********************************

みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「つりあげでリハビリ!?」を紹介します。皆さん、患者さんをつりあげてますか?「はい、つりあげてます」って方はヤバイ人かもしれません。

真面目な話に戻ります。患者さんをつり上げて離床をするという方法があります。こちらのGolvo 9000という機械をみると分かりやすいと思います。
https://www.kemco-shoji.co.jp/teams/team2/golvo9000/

オランダの会社による機械のようで、つりあげるというのはこのような機械の意味でした。このつりあげ機を使用して離床を行うことは、果たして本当に意味があるのでしょうか。

東邦大学医療センター 大森病院のGinga先生たちは、このつりあげ機を使用することが、患者さんの身体機能などを改善させるか無作為化比較試験を行いました。一施設での無作為化比較試験です。48時間以上人工呼吸管理の見込みのある患者が対象となりました。介入群では、従来のリハビリに加えてつり上げ機を使用、対象群では従来通りのリハビリのみ行いました。対象となった患者数はつり上げ機を使用群は39人、対象群は41人でした。

つり上げ機を使用した介入群の方が、早期に立位が可能だったようです(1日 vs. 3日)。さらにつり上げ機を使用した群の方がICU退室時のFSS-ICUが良好だったようです。MRCスコア、Barthel Index、ICU入室期間、人工呼吸器離脱日数などは有意差がなかったという結果になっています。

なるほど~つり上げ機はいいんですね!潤沢なスタッフがいたら機械もいらないかもしれませんが、限られた人数で離床を進めていこうとなると、こういった機械を併用することも重要かもしれませんね。自分はこの機械を使用したことはないですが、どんな感じなのか一度つりあげられてみたいですね。Mなわけではないです(笑)。

EMSも振動療法もサイクリングもそうですが、一度使ってみないとどんな感じか分からないですね。医学的なエビデンスは十分立証されたので、学会会場などでチャンスがあれば、是非、みなさんトライしてみましょう。

Early Mobilization Using a Mobile Patient Lift in the ICU: A Randomized Controlled Trial
https://journals.lww.com/ccmjournal/fulltext/9900/early_mobilization_using_a_mobile_patient_lift_in.285.aspx