日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【サンドバッグで呼吸リハ!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「サンドバッグで呼吸リハ!?」を紹介します。皆さん、サンドバッグで呼吸リハしている方いますかー?いたら、やばい人かもしれません…

今回は大変興味深いタイトルの論文を見つけたので読んでみました。
「Effectiveness of abdominal sandbag training in enhancing diaphragm muscle function and exercise tolerance in patients with chronic respiratory failure」

つまり、タイトルだけをみると慢性呼吸不全で人工呼吸管理などを離脱できない人に、おなかのサンドバッグでのリハビリが必要とのことです。

???

それではさっそく論文を読んでみましょう。

台湾のリンさんは、31人の慢性呼吸不全で人工呼吸管理中の患者さんを2群に分けました。介入群では腹部に30分間サンドバッグを乗せて呼吸させることで、呼吸筋への負荷を増やしたようです。2kgから始めて0.5kgずつ重くしていき、そしてこのトレーニングを3ヶ月間行ったようです。スパルタ(泣)対象群には特別な介入はなしです。

この結果、サンドバッグトレーニングを受けた群では1回換気量が増加し、RSBI(rapid-shallow breathing index)が低下し、最大吸気圧も増加したようです。さらに、横隔膜の筋厚も増加して、横隔膜の動きもよくなったようです。そして、なんとなんとサンドバッグトレーニングを受けた群では、53%が人工呼吸器を離脱できたのに対して、対象群では7%しか人工呼吸器を離脱できなかったようです。

サンドバッグ最強 (|| ゚Д゚) 

しかし、この研究はどのように2群に振り分けたかはっきり記載されてないですし、サンプルサイズもどのように計算したか記載されてないですね。少し怪しい??

明日から日本中で患者さんのお腹にサンドバッグが乗っていないことを祈ります…

やはり、もっと研究が必要そうですね。

Effectiveness of abdominal sandbag training in enhancing diaphragm muscle function and exercise tolerance in patients with chronic respiratory failure
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38302365/