日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【痰が移動する裏付け】呼吸介助に関するエビデンス

徒手的に行う呼吸介助ですが、痰が絡んでいるけれど、なかなか自己喀痰できない場合によく用いられます。呼吸介助のやり方による痰の移動の違いを調査した、興味深い報告が届きました。

今回紹介する論文は、呼吸介助のやり方の違いが、分泌物の移動、気道クリアランスに与える影響について、先行研究を分析してまとめています。レビューの結果、ハッフィングや咳嗽に合わせるような、短時間で比較的強い力で行う呼吸介助は痰の移動に有用だということです。当会の呼吸介助の適応でも、中枢気道付近にある喀痰を移動させたい場合は、ハッフィングや咳嗽に合わせる介助を推奨していますので、その裏付けがわかる報告です。

一方で、呼気全般にわたってゆっくりと行う呼吸介助は、痰の移動には向かない方法と述べられていますが、深呼吸を促したい場合や、離床で一時的に乱れた呼吸パターンの調整には有用かもしれません。適応に合った方法が実施できると良いですね。

下記の原典では、呼吸介助の方法の違いによる気流の違いを見ることができ、参考になります。是非、ご覧ください。

Yorschua Jalil.et al. A deep look into the rib cage compression technique in mechanically ventilated patients: a narrative review. Rev Bras Ter Intensiva. 2022 Jan-Mar;34(1):176-184.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9345587/

この情報が皆さんの診療に役立つことを願っております。

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