日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【抜管予測のトリプルルール】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「抜管予測のトリプルルール」を紹介します。

皆さん、人工呼吸管理されている患者さんで、抜管が無事にできるかどうかってどのように判断していますか?最近では保険加算などの関係もあり、多くの病院でSBTなどをするようになってきたと思います。ちなみに、知~っているとは思いますが~SBTはspontaneous breathing trialの略で自発呼吸試験ですよ!

しかしSBTするだけで、本当に抜管できるかどうかを正確に評価できるでしょうか。そんなことないですよね??なら、どうしたらよいか。

そんな疑問に答える研究を、コロンビアのVegaさんが行いました。Vegaさんは抜管の予測に有効な可能性のある、いくつかの指標を比較してどのような評価方法が有効なのか研究しました。含まれた評価方法はSBT、カフリークテスト、Rapid shallow breathing index(呼吸回数と一回換気量の比)、咳の強さ、超音波での横隔膜の収縮速度のようです。

367人の患者さんが対象となりました。抜管の成功率は76.5%であったようです。解析の結果、3つの指標が重要であることが分かりました。これが今回の抜管予測のトリプルルールで①SBT、②咳の強さ、③超音波での横隔膜の収縮速度が重要であったようです。そしてさらに、抜管予測のための式を生み出しました。

(5.7×SBT) + (0.75×咳の強さ) − (0.25 × 超音波での横隔膜の収縮速度) − 4.5

この式でカットオフ値を1.25とすると感度96.8%、特異度78.4%で抜管できるかどうか予測できるようです。一度抜管前に使用してみてはどうでしょうか。計算は面倒ですが、やはり単一のものより、複数を組み合わせた評価が重要というメッセージだけ伝わればと思います。

抜管できるなら1日でも早くしてあげたいですね。早期抜管、早期離床です!!

Utilization of spontaneous breathing trial, objective cough test, and diaphragmatic ultrasound results to predict extubation success: COBRE-US trial
https://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13054-023-04708-y