日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【GIPが筋萎縮を引き起こす?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「GIPが筋萎縮を引き起こす?」を紹介します。皆さんGIPってご存じですか?

ZIP!? は朝の情報番組ですね
GEP!? は食後に注意してください。
SAP!? はボブ・サップはもちろん関係ないです。。。

はい、それでは本題です!!汗

GIPというのはGastric Inhibitory Peptideの略です。GIPというのは小腸に存在するK細胞から分泌されるペプチドホルモンで、食事摂取に伴い分泌され、膵β細胞に作用してインスリンの分泌を促進します。

秋田大学のTakahashi先生達は、このGIPと筋萎縮関係しているか調べました。若年と高齢マウスで、CTでの組織の構成、握力、筋重量、前脛骨筋の面積と、筋内脂肪について調べました。マウスはGIP受容体をノックアウトしたものと、そうでないものを比較しました。

結果、GIP受容体をノックアウトしたマウスの方が除脂肪体重が多く、握力も強く、筋重量も重くなり、脂肪組織も少なかったようです。さらに、GIPのリセプターを抑制することが筋断面積増加、筋内脂肪低下につながったようです。このGIPを抑制することが、筋肉内の脂肪蓄積抑制、筋肉の再生を促進することが明らかとなり、将来的にはこのGIPの働きを抑制することが、サルコペニアの新たな治療戦略となりそうという結論です。

ちょっと難しかったでしょうか 汗

日本から新たなサルコペニアの治療戦略を提言できるというのは、やはり日本の、いや秋田の基礎研究はすごいですね。高齢化が進む昨今、ますます重要な課題です!

Gastric inhibitory polypeptide receptor antagonism suppresses intramuscular adipose tissue accumulation and ameliorates sarcopenia
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jcsm.13346