日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【アシドーシスと筋萎縮】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「アシドーシスと筋萎縮」を紹介します。筋萎縮は、癌や敗血症などの疾患、栄養不足、長期臥床、薬剤など様々な原因で起こります。

アシドーシスで筋萎縮が生じるというのを、皆さんはご存じでしたでしょうか。アシドーシスというのは簡単にいうと、様々なことが原因で、血液が酸性になっている状態のことをいいます。慢性腎不全などでアシドーシスの状態にあると、筋萎縮が進行すると以前からいわれておりました。しかし、このアシドーシスを改善させることが筋萎縮の予防になるのでしょうか。

オランダのVisserさん達は、アシドーシスを補正することが筋萎縮を改善させるのか、12個の研究を解析してメタアナリシスを行いました。平均年齢は64歳、eGFRが30 ml/minの慢性腎不全の患者を対象としています。含まれた研究は、経口で重炭酸などを摂取させたり、酸性を改善させる薬剤などを内服させてアシドーシス改善の介入を行っていました。

このメタアナリシスの結果、アシドーシスを改善させることは上腕周囲長を有意に改善させ、椅子立ち上がりテストで評価した身体機能も改善させたようです。やはりアシドーシスというのは、筋肉に良くないんですね。

離床をしている患者さんで、アシドーシスの患者さんはいないでしょうか。そんな時は、多職種で情報を共有して介入につなげていきましょう。

Effects of correcting metabolic acidosis on muscle mass and functionality in chronic kidney disease: a systematic review and meta-analysis
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.13330