日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【ICUで音楽の効果は!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「ICUで音楽かけると意味あるの!?」を紹介します。皆さんは、一日に何分くらい音楽を聴いていますか? 最近は無線のイヤホンなどの発達により、人々の音楽を聴いている時間は増加してきているようです。なんと平均で、1日あたり約1時間は音楽を聴いているようです。それくらい音楽って私たちの日常には重要なものです。では重症疾患になると音楽は不要なのでしょうか?

例えば離床をするときに、やる気のある音楽がかかっていたら? ストレスの多い環境で落ち着く音楽がかかっていたら?なんて思いませんか。そんな質問の答える研究結果が報告されました。

オランダのKakarさん達は、ICUでの音楽の有用性について無作為化比較試験を行いました。音楽グループに振り分けられた患者さんでは積極的に音楽を使用する、そうでないグループには通常通りのケアをする群に振り分けました。音楽グループでは、意思疎通が可能な患者さんに少なくとも30分の音楽セッションで、1日2回の介入を急性期の3日間続けました。94人の患者が対象となりました。

しかし、残念ながら音楽は患者の不安軽減につながらなかったようです。不思議なことに、音楽グループでは痛み止めなどで使用する麻薬の使用量が低下しましたが、睡眠の質は悪化したという結果が出ています。つまり、一部の患者さんでは音楽が有効であったが、不快であった患者や、全く気にならなかった患者さんなど、それぞれの状況により効果が異なるのかもしれません。なので、ICUで音楽が有効かという問いには、状況によりけりという答えになっています。

絶対的に良いものというのは、なかなかないですよね。状況によりけりということはもしかしたら、離床をするときに音楽をかけたら、やる気がアップするかもという結果も出るかもしれないですね。

もしかして、ロッキーのテーマソングを流したら急に歩行ができるようになったりするのかなあ。

Effect of a music intervention on anxiety in adult critically ill patients: a multicenter randomized clinical trial
https://jintensivecare.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40560-023-00684-1