人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「離床栄養の極意」を紹介します。ヨーロッパから急性期の栄養療法のガイドラインが発表されました。いわゆるESPEN(エスペン:ヨーロッパ臨床栄養代謝学会)のガイドラインです。
栄養の領域は名前が面白いです。
ASPEN(アスペン)→米国静脈経腸栄養学会
JSPEN(ジャスペン)→日本静脈経腸栄養学会
AUSPEN(オースペン)→オーストラリア静脈経腸栄養学会
など、なぜかペンペンペンペンしてます(笑)
それはおいときまして、やはり栄養は離床にもおおきくかかわってくるので、最新のガイドラインを勉強してみましょう。ポイントをあげていきます。
経口摂取できる患者さんには経口摂取させましょう。無理であれば48時間以内の早期経腸栄養、1週間以上腸を使用した栄養が無理そうであれば経静脈栄養3-7日以内に開始しましょう。ただやはり腸を使用した栄養を優先すべきで、すぐに経静脈栄養を開始しない。
栄養状態を評価しましょう。特に低栄養のアセスメントが重要です。低栄養の患者では早期から徐々に栄養を増やす
栄養は3-7日目を目標にちょっとずつ増やしていきます。急に大量に投与しないようにしましょう。
誤嚥のリスクが高ければ栄養チューブを十二指腸にすすめましょう。
間欠的よりもまずは持続的な栄養投与をしましょう。
間接熱量計を使用しましょう。まずはパーミッシブアンダーフィーディングでゆっくりと、急性期をこえたら間接熱量計で必要投与量を投与しましょう。間接熱量計が使用できなければ計算式などで70%以下の、パーミッシブアンダーフィーディング!
急性期の蛋白質投与量は1.3 g/kgを目指して投与しましょう。肥満の場合は除脂肪体重も評価して投与量を決定。
経静脈栄養の時は脂肪製剤や微量元素も併用しましょう。
20%以上の熱傷や重症外傷の時はグルタミンも併用しましょう。
急性期の最初の1週間はK,Mg、Pを測定しましょう。リフィーディングを疑う時は2-3回測定!
色々とけっこう具体的な推奨ですね。最も重要な点は栄養のみでなく、理学療法も併用しましょうという点で、栄養の世界もリハ栄養・離床栄養を重要視していますね。逆に、離床の世界も栄養を重要視する必要があるかと思います。ペンペン離床していきましょう!
ESPEN practical and partially revised guideline: Clinical nutrition in the intensive care unit
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0261561423002303