日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【テープで筋萎縮予防!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「離床はすればするほどいい!?」を紹介します。皆さん、テープでリハビリをしていますか?って一体なんのことか分からないですよね。

テープとは、キネシオテープに関してです。キネシオというのはギリシャ語で運動学という意味です。テープに関しては、テーピングで肉離れをおこしたくない部分を固定したり、関節可動域を制限したい場合に使用することが多いと思いますが、実はリハビリにも使用されるようです。

トルコのAKSELİMさんは、新型コロナウイルス肺炎でICUに入室した患者さんでキネシオテープを用いた呼吸器リハをすることが、予後や横隔膜の機能や萎縮にどのような効果があるか調べました。対象はハイフローネーザルカヌラを使用されている患者さんで、3群に分けられました。従来のリハビリテーション群22人、キネシオテープを用いたリハビリテーションを行った26人、標準的なケアをうけた対象群の24人です。

患者背景、死亡率、入院期間などは群間で差がなかったようです。しかし、人工呼吸管理が必要となった患者さんの割合、横隔膜萎縮、横隔膜機能障害についてはキネシオテープを用いた群で改善したようです。テープでよくなったというのは、一体どのような機序なのでしょうか。

このキネシオテープの貼り方により筋肉の動きを円滑にしたり、伸びすぎる筋肉を抑えたり、また皮膚を持ち上げることで血液やリンパの流れがよくなったり、炎症も抑えたりと様々な効果があるようです。確かにキネシオテープが健常者の呼吸機能をよくするという研究もあるようです(https://doi.org/10.21673/anadoluklin.385414)。

このキネシオテープですが、開発者はKASE先生という日本の方で、さらにアメリカにキネシオ大学を作ってpresidentをされているようです。テープ侮るなかれですね。僕もこっそりシャツの下に貼っておこうかな…

The Effects of Early Rehabilitation and Diaphragm Kinesiotaping on Diaphragm Muscle Thickness in Patients with Severe COVID-19 Pneumonia in the Intensive Care Unit
https://dergipark.org.tr/en/pub/tjim/issue/79172/1279770