日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【魔法の抑制帯】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「魔法の抑制帯」を紹介します。皆さん抑制帯使っていますか? はい、めっちゃ使ってます!!って方はなかなかいないですよね(汗)

急性期の抑制帯使用は患者さの安全のために必要な時もありますが、せん妄や身体機能障害の原因になるリスクもあります。なので、急性期の重症患者さんで、できるだけ抑制帯を使用せずに管理しようというのが看護の基本だとは思いますが、どうしても必要な時が多々あるというのが実際の臨床かと思います。

今回は、患者さんの身体機能障害を起こさないぞ!っていう魔法の抑制帯に関する論文が報告されたので共有します。この魔法の抑制帯はExersides® Refraint® という名前で、Healthy Design, LLCの商品のようです。これは患者さんの腕の可動域を制限はするけど、腕自体は使用できるのでストレスが少なく、身体機能障害も少ないことをウリにしています。

私も海外の学会で数年前に実物をみたことがありますが、日本にも持ち込みたいなと思った記憶があります。実際に論文の写真をみてもらうのが分かりやすいと思います。アメリカのBirenさんは、この新しい魔法の抑制帯を7人の人工呼吸管理された成人患者さんに用いて、その安全性を検証しました。患者さんは、ランダムに従来の抑制帯を4時間使用→次の日に魔法の抑制帯を4時間使用、または逆の順で魔法の抑制帯を4時間使用→抑制帯を4時間使用のどちらかに振り分けられたようです。結果は平均年齢65歳、使用期間中に魔法の抑制帯を用いて裂傷などの怪我はなく、患者さんの感想も、この魔法の抑制帯の方が動きやすく、快適であったようです。

つまり、まずはこの魔法の抑制帯は有害事象がなく患者さんにも快適であることが分かったようですが、今後の研究でこの抑制帯が本当に身体機能障害予防、せん妄予防につながるか検証が必要なようです。なので研究は大事ですね!

是非、日本版の魔法の抑制帯を作ってみてはいかがでしょうか。

Phase I pilot safety and feasibility of a novel restraint device for critically ill patients requiring mechanical ventilation
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/17511437231182503

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