日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【6 cmがポイント】COPDの肺を守る戦略

重症呼吸不全に対して行われる、肺保護戦略を、周術期の慢性呼吸不全(COPD)患者さんに用いた場合の効果について、興味深い報告が届きました。

この研究では、全身麻酔下で腹腔鏡下消化管手術を受けたCOPD患者さん108名を対象に、個別にPEEPを設定した場合の、肺機能保護と認知機能の関連について調査しています。その結果、個別にPEEPを設定することで、酸素化指数や動的肺コンプライアンスは優位に増加し、認知機能も維持されることが分かりました。この研究は、重症呼吸不全患者さんに用いられる肺保護換気戦略を、COPD患者さんに用いて、駆動圧と肺超音波の評価をもとに、個別化した戦略を立てているところが注目すべき点です。5 cmH2O以下のPEEP値では、肺胞が部分的に虚脱を示唆する結果となったことも興味深い点であり、肺胞の虚脱を防ぐためには、PEEPの値が重要だと感じる研究です。

下記原典では、各群の詳細や個別化するためのPEEPの評価法や設定について見ることができ、参考になります。是非、ご覧ください。

【文献情報】
Lai-Feng Luo et al. Effect of individualized PEEP titration by ultrasonography on perioperative pulmonary protection and postoperative cognitive function in patients with chronic obstructive pulmonary disease. BMC Pulm Med. 2023 Jun 28;23(1):232. doi: 10.1186/s12890-023-02471-y.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37380978/

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この情報が皆さんの診療に役立つことを願っております。