人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「肥満が筋肉の質を落とす!?」を紹介します。
30歳を超えると脂肪がつきやすいってよくいいますけど、まさにそのとおりって実感している毎日です。。。逆ギレすると脂肪が多いとダメなんですか!?っていいたくもなります。
今回は脂肪と筋肉の関係を調べた研究をご紹介します。アメリカのRaghupathyさん達は962人の患者さんにおいて、脂肪と筋肉の関係を調べました。DXAという微量の放射線を用いた検査での、徐脂肪体重、握力、筋肉の質(握力/腕の徐脂肪体重)、腹囲、内臓脂肪、皮下脂肪を比較しました。結果は、平均年齢は60歳でした。BMIの平均は男性が28.9 kg/m2、女性が27.7 kg/m2とアメリカの平均値ですね。
男性においては腹囲が大きいと徐脂肪体重も大きいものの、筋肉の質(握力/腕の徐脂肪体重)は低値でした。一方で皮下脂肪が多いとBMIが30未満のグループでのみ徐脂肪体重が大きく、筋肉の質(握力/腕の徐脂肪体重)が低い結果でした。女性においては腹囲、内臓脂肪、皮下脂肪の全てが除脂肪体重高値、筋肉の質の低下と関係しておりました。やはり脂肪は筋肉の質の低下と関係しているようです。
脂肪組織からは多くのホルモンが分泌され、それが筋肉に悪影響を与えている可能性などが考えられますが、それは今後の研究課題で、今回の研究では肥満が筋肉の質を落とすとはいいきれないかと思います。あくまでも肥満と筋肉の質の低下を示唆した研究ですね。
それでは食べすぎ、飲みすぎにはご注意を!
Higher abdominal adiposity is associated with higher lean muscle mass but lower muscle quality in middle-aged and older men and women: the Framingham Heart Study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37166563/