慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんは、離床時の息切れや低酸素血症に注意すべきですが、最もマークすべきは急性増悪の徴候といわれています。そんなCOPD患者さんの急性増悪に関連する要因について興味深い報告が届きました。
この研究では、COPDの患者さんを、増悪症状を認めた人と、過去4週間に増悪を認めなかった人にわけ、急性増悪に関連する要因について調査しています。その結果はなんと、血清電解質の異常が、急性増悪の患者さんによくみられ、重症度や死亡率を増加させることがわかったというのです。急性増悪にともなう電解質異常は、低ナトリウム血症が70.7%、次いで、低カルシウム血症は56.1%、高カリウム血症は22%の方にみられました。また、2つ以上の電解質異常を生じた患者さんは、退院後に在宅酸素が必要になりやすく、死亡率も高いことが分かりました。COPDの患者さんの離床に関わるときには、呼吸困難感などの呼吸症状に目が行きがちですが、低酸素や酸塩基平衡、服薬などの影響による、電解質異常も警戒すべきと感じる研究です。
下記原典では、対象者の実際の電解質データをみることができ、参考になります。是非、ご覧ください。
Akash Deep et al.Serum Electrolytes in Patients Presenting With Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD) and Their Comparison With Stable COPD Patients.Cureus. 2023 Apr 24;15(4):e38080. doi: 10.7759/cureus.38080. eCollection 2023 Apr.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10208846/
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