日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【電気で呼吸する時代がくる!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は横隔膜に対する神経筋電気刺激療法が徐々に実用化に向けて進んでいるようなので、最新の人を対象とした研究を紹介します。人工呼吸管理を要する患者さんを中心に、横隔膜の萎縮が問題となっています。そして、この横隔膜の萎縮を予防・治療するためには人工呼吸管理、リハビリテーション、栄養療法などありますが、その中の一つが神経筋電気刺激療法(EMS:Electrical Muscle Stimulation)です。

ドイツのPanelliさんは、5人の待機的に外科手術を受ける肺機能に問題のない患者さんを対象として、横隔神経に対してEMSを行いました。実際に手術を受ける患者さんを対象として、両側横隔神経を通してのEMSで、どれくらいの呼吸が実施可能か研究しています。対象は5人と少ないと思うかもしれませんが、なかなか同意得るのは大変そうですね…

横隔神経への電気刺激を10%、20%、30%、40%と強くしていくと、1回換気量は0 ml/kg、1.8 ml/kg、4.6 ml/kg、7.4 ml/kgと増加するようです。そして、至適な換気量を得るために電気刺激の強度は89秒要したようです。この研究をみると、横隔神経へのEMSは実用的なレベルにきているようですね。横隔神経への電気刺激は両側頚部の神経へパッドをとおして電気刺激を送るもので非侵襲的であることは確認されています。EMSだけで十分な換気量が得られるというのは、非常に興味深いですね。

最終的には人工呼吸管理による陽圧管理ではなく、電気刺激で横隔膜が収縮して呼吸をさせる時代がくるのでしょうか。横隔神経のEMSで横隔膜のリハビリも可能になってくるかもしれませんね。今後の研究に期待です!

First non-invasive magnetic phrenic nerve and diaphragm stimulation in anaesthetized patients: a proof-of-concept study
https://icm-experimental.springeropen.com/articles/10.1186/s40635-023-00506-6

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