日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【運転を続けたければ離床すべき!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

*********************************

みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は、集中治療後症候群(PICS)と車の運転についてのお話しです。集中治療後症候群とは、英語でPost Intensive Care Syndromeといい、略してPICSといいます。これは重症疾患を改善して病院を退院した後も続く、身体、認知、精神機能障害の総称です。PICSは3人に1人から2人の頻度でおこる問題です。現在では身体、認知、精神機能のみでなく、患者さんがどのように社会に復帰したか。自分でご飯を食べられているか。仕事に復帰できているかなど、より生活していくうえで欠かせない要素が重要なアウトカムとして注目を集めています。

今回紹介する研究は、患者さんが退院した後に車の運転をできているかということを調査した研究です。都会に住む方々にはあまり関係ないかもしれませんが、地方に住む人にとって、車の運転ができるかできないかは、非常に重要な問題です。アメリカのKellyさんは、2018年から2020年に敗血症、呼吸不全などでICUに入院してPICSのフォローアップで外来を受診した196人の患者さんを対象に調査を行いました。もともと運転していた126人の患者さんのうち、退院1ヵ月後に運転ができるようになっていたのはなんと16人(13%)のみでした。退院1ヵ月後に運転ができる患者さんと、できない患者さんではどのような違いがあるのでしょうか。なんと運転ができるようになっていた患者さんの方が、ICUで離床できていたようです。具体的にはジョンズホプキンス離床スコアで7 (4-7) 対 4 (3-7), p = 0.05ほど違いがあったようです。

なんと離床は退院後の運転機能回復にも有効なんですね!都会の皆さんには「へー、そうなんだー」って感じかもしれませんが、地方の皆さんには「マジー!!絶対明日から離床頑張ろう!!」って危機感すら覚える話題かもしれませんね(笑)。僕も田舎出身なので良くわかります。それではまた明日から離床を頑張りましょう!

Return to Driving After Critical Illness
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2802804