日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【くも膜下出血後の早期離床はとても良い!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

*********************************

みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は、くも膜下出血と離床の有益性に関する最新の論文を紹介したいと思います。くも膜下出血後の患者さんって離床させていいの? これは非常に難しい問題だと思います、近年では脳卒中に限らず、早すぎる・負荷の強い離床は、リスクを伴うことが報告されております。動脈瘤破裂によるくも膜下出血後の患者さんではどうなのでしょうか。くも膜下出血後の患者さんは、“サイレントスパイダー”に注意しろと学生の時に習いました。“サイ”再出血、“レン”攣縮、“ト”水頭症です。離床に伴い、再出血をきたしてしまったら?血管攣縮をきたしてしまったら?という不安もあるかもしれません。

フランスのFoudhailiさん達は、動脈瘤破裂によるくも膜下出血後の患者さんの早期離床について後方視的に調べました。くも膜下出血発症後4日以内に早期離床を受けた31人の患者さんと、そうでない148人の患者さんを比較しました。重症度も考慮した多変量解析の結果、早期離床は退院3ヵ月後の身体機能を有意に改善し(オッズ比 3.1)したようです。さらにくも膜下出血後からの離床開始の遅れが、脳血管攣縮の発症リスクとなるようです。

なんと、なんと、くも膜下出血後は4日以内にベッド外への早期離床をした方がめちゃくちゃ良いって結果になっております。さあ、明日からくも膜下出血後もどんどん離床しちゃおうっていうあなた!

これはあくまでも単施設での後方視的研究ですので、実臨床にそのまま応用するのは早いかもしれません。これをもとに無作為化比較試験やメタアナリシス、ガイドライン作成などを経て臨床に応用されていきます。ですので、まだそういう報告もあるっていう段階かもしれませんね。離床はまだまだ奥が深いですね。。。とほほほ

Impact of early out-of-bed mobilization on functional outcome in patients with aneurysmal subarachnoid hemorrhage: a retrospective cohort study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36966907/https://journals.lww.com/ccmjournal/Fulltext/9900/Long_Term_Prognosis_Following_Early_Rehabilitation.124.aspx