日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【筋萎縮とインスリン抵抗性】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は、筋萎縮とインスリン抵抗性に関する最新の文献をお届けします。ICUに入室してベッド上で動かないことや、炎症の状態で血糖値が高くなることが多々ありますが、これは筋肉には有害でしょうか?? そんな疑問に関して、ドイツのGrunowさんはラットを用いた基礎研究でそのメカニズムを明らかにしました。

なんと131匹のラットを用いた研究です。ラットを麻酔とワイヤーで固定して不動化させて、さらに細菌に感染させて炎症を起こし、最終的には筋肉を取り出して筋肉内でどのような現象が起こっているかを調べた研究です。

不動化と細菌に感染させるマウスは半分ずつですので
①不動化のみ
②炎症のみ
③不動化+炎症
の3つのモデルができます。

この原因として筋肉中の蛋白質を調べたところ、インスリンの抵抗性が生じており、GSK3という蛋白質が活性化されないために、異化が亢進していることが明らかとなりました。つまり不動化や炎症による直接の筋萎縮への影響のみでなく、インスリン抵抗性を通じて異化が亢進し、筋萎縮をきたしていることも明らかとなりました。もしかするとインスリン抵抗性が改善されれば、筋萎縮は少し改善されるかもしれないということですね。

少し、いやめっちゃ難し話しだったかもしれません… 要するに離床は重要ということでお願いします(笑)

特に血糖値が高い患者さんは、インスリン抵抗性が著明かもしれませんので、積極的に離床が必要になるかもしれないですね。今日の研究が明日の医療をかえます!

Insulin signaling in skeletal muscle during inflammation and/or immobilization
https://icm-experimental.springeropen.com/articles/10.1186/s40635-023-00503-9