日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【痛みがあっても動くという発想】疼痛管理に関する最新エビデンス

痛みが強い患者さんを担当したとき、活動量を上げるどころか、活動量を維持するのにも苦労した経験はありませんか?疼痛管理を組み合わせた離床・リハビリを、脊椎圧迫骨折の患者さんに行った効果について深い報告が届きました。

この研究では、急性脊椎圧迫骨折の高齢者65名を対象に、疼痛管理を組み合わせたリハビリテーションが、どのような効果があるのかを調査しています。疼痛管理プログラムの内容は、痛みがあっても日常の活動量を増やすことを目的に、患者さんと設定した目標を共有し、歩数計と日記を使用して管理が行われました。その結果、疼痛管理プログラムを実施した患者さんの86.2%の人が、退院時に目標の歩数を達成し、疼痛管理プログラムが活動量の増加に有用だとわかったというのです。さらに活動量だけではなく、疼痛強度、痛みに対する考え方、身体活動レベルも改善したと報告しています。とくに痛みに対して悪くなると過大評価してしまう「痛みの拡大視」に関しては、介入群のみで改善が認められています。患者さんから痛みの訴えがあると、その痛みを注視してしまいがちですが、痛みにとらわれず、痛みがあっても日常生活をどう促していくか、という視点で関わることが大切だと感じる研究です。

下記原典では、具体的な疼痛管理プログラムの進め方をみることができ参考になります。是非、ご覧ください。

Hideki Kataoka et al.Effects of a Rehabilitation Program Combined with Pain Management That Targets Pain Perception and Activity Avoidance in Older Patients with Acute Vertebral Compression Fracture: a Randomised Controlled Trial.Pain Res Manag. 2023 Feb 13.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36814427/

この情報が皆さんの診療に役立つことを願っております。