日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【早期離床・リハビリ最強!】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。最新の文献をお届けます。

今回はICUでの早期離床・リハと長期予後の関係に関する論文を紹介します。早期離床・リハが重症患者さんの筋萎縮・身体機能障害を予防したり、せん妄を予防したりと様々な効果がうたわれていますが、長期予後に与える影響はいかほどのものでしょうか。また医療費削減にもつながるって本当でしょうか?今回も前回同様に日本の研究者が権威のある米国のCrit Care Medicineという雑誌に論文を掲載しています。この雑誌の採択率は数%と狭き門ですので、日本人で採用されるのはいかに意義のある研究かということですね。

この研究では熊本県の2012年から2017年までの5年間分の医療データを、解析されたようです。患者さんはICU入室から3日以内の早期リハビリ群、4日以上の非早期リハビリ群に分けて比較されました。もちろん、長期予後をみるにあたっては、退院後のフォローアップの頻度を考慮することが重要ですので、その点はプロペンシティースコアマッチングという統計手法を用いて調整されているようです。

さてさて、結果はどうだったのでしょうか。気になりますね~

6679人の患者さんが対象となりました。3日以内の早期リハビリを受けた患者さんは入院期間が約21日短く、入院や外来通院を含めた合計の医療費は約140万ほど安かったようです。なんと!!!やはり早期離床・リハビリ最強!っていう感じでしょうか。最終的に1人あたり140万の医療費削減につながるようであれば、早期離床・リハビリの普及に十分投資する意義はありそうですね。

ということで早期離床・リハビリにかかわるスタッフの給料をあげて頂いて、ボーナスも頂いて、明日からも頑張れそうですね(笑) また今年度も早期離床・リハビリを頑張りましょう!!

Long-Term Prognosis Following Early Rehabilitation in the ICU: A Retrospective Cohort Study
https://journals.lww.com/ccmjournal/Fulltext/9900/Long_Term_Prognosis_Following_Early_Rehabilitation.124.aspx