日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【元々要介護状態の方の長期予後は?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。最新の文献をお届けます。

今回は「要介護の患者さんの長期予後はどうなっているの?」をお届けします。様々な患者さんで長期予後、つまり集中治療後症候群PICSの報告がありますが、もともと要介護の状態にある患者さんの1年後の予後はどうなっているのでしょうか。

栃木県のデータを用いて解析されたデータが、Critical Care Medicineに掲載されておりました。すごいですね。要介護の状態にある65歳以上の患者さんが挿管、人工呼吸管理のような治療を受けると1年後の身体機能はどのようになるのでしょうか。栃木県の60万人の患者さんのデータが対象となり、年齢の中央値は81歳でした。

退院1年後の状態ですが、要支援、要介護のレベルが増加するにつれて43%から74%まで死亡率が増加していました。さらに約10-20%程度、介護の必要度も増すようです。これは非常に重要なデータかと思います。医師としては、そのような患者さんにどこまで侵襲的な手術や治療を行うのか、リハビリスタッフとしては、どこまでリハビリをしてどこまで機能回復を目指すか、看護師としては、患者さんや家族の身体・精神面でどのようなケアをしていくか。などなど、重症な患者さんとの向き合い方を考えさせられます。もちろん、介護が必要であるから治療をしないということは絶対になく、リハビリやケアをしないということも絶対になく、なかなか正解のない世界かもしれません。

皆さんはこのデータをみてどのように思われますか?急性期は考えることが多いですね。

One-Year Functional Outcomes After Invasive Mechanical Ventilation for Older Adults With Preexisting Long-Term Care-Needs
https://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/9900/One_Year_Functional_Outcomes_After_Invasive.101.aspx