
人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
*********************************
みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。最新の文献をお届けます。
今回は「早期離床は血栓予防に有効っていうけど根拠はあるの?」です。早期離床って本当に深部静脈血栓症予防に有効なのでしょうか。そんな疑問にお答えする研究結果を、サウジアラビアのAI-DorziさんたちはCritical Careに発表しました。AI-DorziさんたちはPREVENT trialという研究のデータを2次解析して早期離床と血栓予防の関係を調べました。全患者1708人のうち、高い離床レベルは85人、低い離床レベルは356人、離床なしは1267人であったようです。
一方で、深部静脈血栓症の頻度は高い離床レベルは1.3%、低い離床レベルは2.0%、離床なしは4.1%であったようです。やはり、離床が進んでいる方が、深部静脈血栓症の頻度が低いんですね。と思ったのですが、なんとなんと多変量解析の結果、有意差がなかったようです。
なんと。。。。複雑な気持ちです(泣)
しかし、今回の結果では早期離床できていた患者さんが非常に少なく、1708人中1267人はまったく早期離床ができておらず、十分な比較ができていなかったのかもしれません。しかも今回のデータベースは後ろ向きの二次解析ですし。。。
将来的には、これをもとにデザインした前向きな研究が必要ですね。安心して下さい、この研究の結論もそのように述べられております。
“Randomized controlled trials are required to assess whether and to what extent this association is modifiable.”
まさに研究が未来の医療をかえるということですね。
Association of early mobility with the incidence of deep-vein thrombosis and mortality among critically ill patients: a post hoc analysis of PREVENT trial
https://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13054-023-04333-9