日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【熱傷患者さんの離床阻害因子とは!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。最新の文献をお届けます。

今回は熱傷患者さんの離床に関してです。重症な熱傷の患者さんって、蛋白質の分解も早くて、筋力も低下して、状態がどんどん悪化していきますが、病態が原因でなかなか離床ができないですよね。実際にどのようなことが問題になっていて、どのように取り組んでいけばよいのでしょうか。

オーストラリアのLimさんは熱傷管理に関わった12人の医療従事者(医師4人、看護師3人、理学療法士5人)にアンケートを行って、熱傷での離床の阻害因子やその解決策についてアンケートをして、論文化したようです。12人!?って、それで論文になるのか。。。。Burnsという熱傷で有名な雑誌ですが、いったい論文ってなんなんでしょうね。

熱傷での離床の阻害因子となっていたのは疼痛、深鎮静、熱傷患者の治療の経験の不足などのようです。一方で離床を促す因子は熱傷患者の治療の経験、熱傷や離床の有用性の知識、スタッフの数、コミュニケーション、多職種で離床をするという文化などのようです。印象的だったのは熱傷患者では“Emotional Filter”、つまり離床するのがかわいそう、そっとしといてあげたいというような感情が離床の阻害因子にもなっているようです。実際に熱傷の臨床にかかわる医師としてとても分かりますが、やはり客観的に多職種で離床の益と害を議論していく必要があるかと思います。

いずれにしても12人の友達にアンケートしたら論文が書けるということが判明しました。たしかに、このような問題は熱傷のみでなく、様々な疾患で問題になっているはずなので、同じような研究を他の疾患でしてみては?

臨床のあいまに、研究して論文書くのは簡単じゃないんですけどね。とほほ。。。

Multidisciplinary staff perceived barriers and enablers to early mobilization of patients with burns in the ICU
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0305417923000281?casa_token=ZsV_Pf5-qTAAAAAA:WXP0PSGuFr5Uz5sELtCPZtMuzlXLx96KM5tT-fM5UpzJLaEPHBHh6vtBWXxoa0Ozq9ZgMTG_Hw