人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。
今回は「子供の早期離床がPICSを改善!?」という内容を紹介します。小児の早期リハはどのようにされてますでしょうか。小児に関してはどのようにしていくか難しいですよね。ガイドラインでもはっきりしないことも多いです。
今回は小児の離床がPICS改善につながるか!?ということをカナダのKarenさんが調べました。PICUに48時間以上入室することが見込まれる小児を対象に以下の介入を行いました。
(1)鎮痛をまずしっかりと効かせる(2)せん妄の評価と予防(3)早期離床・リハ
今回は無作為化比較試験ではなく、介入前後の比較試験です。最終的に117人が対象となりました。年齢の中央値は1-3歳くらいです。PICSに関する機能レベルは、Pedi-CAT(Pediatric Evaluation of Disability Inventory Computer Adaptive Test)で評価したようです。
これは身体機能、社交性、認知機能などを評価するテストです。一方で、QOLはKIDSCREENというテストを使用しています。
小児を対象とした、鎮痛・せん妄予防・早期リハの介入後でも、64%の患者さんで機能低下を認めました。PICU退室時に40%の患者さんはQOL低下、退院1ヶ月後に50%、3ヶ月後に37%に機能低下またはQOL低下を認めました。早期離床・リハを含む介入をしても、やはり様々な機能低下、QOL低下を認めるようです。
決して早期離床・リハなどの介入を否定するものではなく、早期離床・リハだけでは不十分でやはり、PICUを退室してからの介入など継続した介入が重要なのかもしれません。成人でも早期離床・リハだけではPICSは改善しないという報告もあります。
早期離床・リハから長期離床・リハが重要な時代になってきましたね。子供の3割以上が長期的な機能障害があるというのは、なんとかしないといけないですね。
Post-Intensive Care Sequelae in Pediatrics—Results of an Early Rehabilitation Implementation Study
https://journals.lww.com/pccmjournal/fulltext/9900/post_intensive_care_sequelae_in_pediatrics_results.300.aspx