日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【嚥下障害って実際どれくらいの頻度なの!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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グッテン、モーゲン

筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。オーストリアから最新の文献をお届けます。

嚥下障害、嚥下リハ、オーラルフレイルなどの言葉を最近よく耳にしますが、実際にはICUでは、どのくらいの頻度で発生するのでしょうか。オーストラリアとニュージーランドを中心として44の施設で多施設の調査が行われました。人工呼吸管理されていない患者さんを対象にした1日疫学調査です。おそらく人工呼吸管理されていたら、評価ができないからだと思います。

結果は、451人の患者が対象となり、36人(7.9%)の患者さんで嚥下障害を認めました。嚥下障害を多く認めた患者さんの特徴は、救急外来からの入院、外傷、女性、除脂肪体重が低値、過去の人工呼吸管理や非侵襲人工呼吸管理などのようです。もっと、多いと思っていたのですが、嚥下障害は約8%の頻度のようですね。対象となった患者さんの平均のAPACHEIIスコアが16点ということで、より重症な患者さんではもっと頻度は高いかもしれませんが。

いずれにしても、嚥下障害が一定の頻度でICUにおいて問題になっているようです。そして、興味深いことに、参加した施設の多くが嚥下障害や嚥下リハなどの教育を十分に受けていないということでした。口から食べることができないというのは、やはり身体的にも精神的にも多くの問題につながる状態かと思います。言語聴覚士や看護師とも協力しながら、ICUの嚥下リハを充実させていきたいですね。誰もが元気にご飯を食べられるために、できることはいっぱいあるはずです!

Dysphagia in adult intensive care patients: Results of a prospective, multicentre binational point prevalence study.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1036731423000085?casa_token=14S_6A82pBsAAAAA:6UG-YPMXA2-ncaDvVWQF15sx3UaVKZwtdB37EKXo8F4XXG7bpEf_skDCKOI9RYPGzV-K9ho1Zg