日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【栄養スクリーニングが重要!】ファシリテーターお勧めのエビデンス

離床ファシリテーター研究グループより、臨床で活かせるお勧めのエビデンスを紹介します。

安全に離床を進めるために栄養管理は重要と言われますが、
急性期の栄養評価はどのようなツールが有用なのでしょうか。

今回紹介するのは、NRS‐2002という栄養評価ツールを用いた低栄養リスクを評価した研究です。

Nutritional Risk Screening System 2002 (NRS‐2002)は、
BMIや食事摂取と疾患の重症度から低栄養リスクをスコア化し、
数値が高いほど低栄養リスクが高い状態を示す急性期に有用な栄養評価ツールです。

この研究では、急性期のCOVID-19の患者さんの栄養状態をNRS‐2002を用いて評価して、
死亡率と栄養パラメータとの関連について調査しています。

その結果、82.2%の患者さんに中等度以上の低栄養リスクがあり、
NRS-2002スコア高値と死亡率上昇には強い相関関係があったということです。

また、NRS-2002スコアの上昇に伴い、1日の摂取カロリー、アルブミン値、
ASTの数値は減少傾向を示し、毎日の摂取カロリーについては、
回復した患者さんの平均摂取量は、死亡例よりも約270kcal多かったというのです。

急性期から栄養スクリーニングでリスクを把握して、
対策を講じることで予後に影響すると感じる研究です。

下記原典では、NRS-2002スコア各データの関連について、具体的な数値をみることができ、
参考になります。

是非、ご覧ください。

Babak Alikiaii et al. Evaluation of the effectiveness of the Nutritional Risk Screening System 2002 (NRS-2002) in COVID-19 patients admitted to the intensive care unit. Int J Clin Pract. 2021 Dec;75(12):e14934.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8646661/

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文:離床推進ファシリテーター研究グループ(五十音順)

植田 裕之(北九州八幡東病院)
太田 恵美子(東邦大学医療センター大橋病院)
大友 健司(道北勤医協一条通病院)
奥島 悠大(医療法人社団 井野口病院)
川井 貴彦(塙厚生病院)
川瀬 和大(履正社医療スポーツ専門学校)
川田 稔(倉敷紀念病院)
川辺 大介(札幌北楡病院)
木村 紫聖(道東の森総合病院)
勝又 麗奈(竹山病院)
篠宮 美幸(静岡済生会総合病院)
高岸 亮太(大阪府済生会茨木病院)
長尾 工(榊原記念病院)
實 結樹(リハビリセンター Reha fit)
吉田 竜一(湘南大磯病院)