
人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。
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グッテン、モーゲン
筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。オーストリアから最新の文献をお届けます。
ICUに入室する患者さんで筋肉の萎縮が問題であることはよくわかるけど、どのような患者さんで筋萎縮が起こりやすいのでしょうか。オーストラリアのNickelsらは、過去のエルゴメータを用いた無作為化比較試験のデータを、再度解析してどのような患者さんで筋萎縮が起こりやすいのか調べました。
患者さんの背景やmNUTRICスコアなど様々な因子を解析しました。mNUTRICスコアというのは、modified The Nutrition Risk in the Critically Illの略で、重症患者の栄養リスクを評価するスコアです。年齢、APCHEII score、SOFA score、併存疾患数、ICU入室までの期間、IL-6が指標になりますが、modifiedというのはこのIL-6を除いたその他の指標だけで栄養状態を評価します。この研究では、72人の患者さんが対象となりました。
多変量解析の結果、mNUTRICが高いほど超音波で評価した大腿直筋の筋断面積で評価した筋肉の萎縮が強いことが明らかとなりました(-0.41: 95% CI -0.59 to -0.23)。つまり、ICU入室時にmNUTRICスコアを評価すれば、筋萎縮のリスクを評価でき、リハビリも栄養も、多職種連携も強化して筋萎縮の予防ができるかもしれないというメッセージ性のある結果です。比較的にシンプルなスコアですので、全国どこの施設でも明日から実施しようと思えばできます。
やるか、やらないかはあなた次第。ちょっとしたことで明日の医療はもっとよくなるはずです!
Predictors of acute muscle loss in the intensive care unit: A secondary analysis of an in-bed cycling trial for critically ill patients.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1036731423000012?casa_token=PYTvfLQzfqEAAAAA:aU-NSUXawusutxHhFzy7bsxln3UcuHQyLKemcLtyweeIC0z8_gAw-GwaAci94RmU_W4LQUtIQg