日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【内服の数は筋肉に影響する!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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グッテン、モーゲン

筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。オーストラリアから最新の文献をお届けます。今回は薬とサルコペニアについてです!

時々、ものすごい数の薬を飲んでいる高齢者をみかけます。とある方は毎食数種類飲まれていて、飲むだけでお腹がいっぱいっておっしゃってました。。。しかし、こんなにいろいろな薬を飲んでいて本当に問題はないのでしょうか。今回紹介する研究は、内服している薬の数とサルコペニアの関係について解析した、システマティックレビューとメタアナリシスです。イギリスのKonstantinosさんが2020年6月までの29件の文献を対象に解析を行いました。やはり、複数薬を内服している人の方が、サルコペニアの頻度が高かったようです(オッズ比 1.65 CI 1.23-2.20)。地域で生活されている方、介護施設の方、入院中の方、外来の方などで少し違いはあるようですが、複数薬の内服とサルコペニアに関しては回帰分析でも関係性は確認されているようです。もちろん、今回は複数約の内服とサルコペニアの関係を示唆した結果にすぎませんが、今後の研究につながる重要な研究だと思います。

今までもステロイド、カテコラミン、筋弛緩薬など、様々な薬と筋萎縮やサルコペニアの関係は報告されてきましたが、実はそれ以上に薬剤と筋肉は関係しているかもしれません。離床は多職種連携とは言いますが、やはり薬剤師さんの協力も非常に重要になってきます。医師としては、本当にそんなに処方が必要なのかの判断、理学療法士や作業療法士はそのような患者さんがサルコペニアのリスクが高いということの理解、看護師によるケア、薬剤師による服薬指導や情報共有など、やはり多職種連携ですね!

全員で一丸となって、さらに離床をしていきましょう!

Sarcopenia is associated with a greater risk of polypharmacy and number of medications: a systematic review and meta-analysis
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.13190