日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【怖いCOVID-19後のPICS】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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ようやくCOVID-19も落ち着きつつありますが、COVID-19後の集中治療後症候群(PICS)でリハビリをしている多くの人たちもいます。さて、日本では実際にどれくらいの人が重症新型COVID-19罹患後に、身体機能障害が残っているのでしょうか。その質問のお答えすべく、新たな論文が報告されました。

日本の畠山先生達は、人工呼吸管理を要した重症新型COVID-19の患者のその後を多施設で調査しました。退院後の患者さんの5.5ヵ月後、13.5ヵ月にアンケート用紙を配布して、身体機能、精神機能、認知機能を調べました。対象は5.5ヵ月後に251人、13.5ヵ月後に209人で、PICSを発症していたのは5.5ヵ月後に58.6%、13.5ヵ月後に60.8%でした。特にせん妄の発症や人工呼吸期間がPICSの発症と関係していたようです。

さてさて、その中でも皆さんが気になる身体機能はどうだったかでしょうか?5.5ヵ月後の身体機能障害は21.9%、13.5ヵ月後では18.7%に身体機能障害を認めたようです。約5人に1人が1年後でさえも身体機能障害が残っているのは、やはり非常に大きな問題ですね。これが日本の重症新型COVID-19に関するデータです。

このままCOVID-19が収まったとしてもやはり社会としては今後取り組んでいく課題が山積みのようです。オールジャパンで多職種で全力で取り組んでいきましょう!

文献リンク
Prevalence and Risk Factor Analysis of Post-Intensive Care Syndrome in Patients with COVID-19 Requiring Mechanical Ventilation: A Multicenter Prospective Observational Study
https://www.mdpi.com/2077-0383/11/19/5758