日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【離床が遅れると何が起こるのか!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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最近COVID-19もようやく落ち着いてきた気ましたね!しかし、COVID-19が落ち着いたとしても、重症COVID-19で身体機能が低下して、長期的なリハビリが必要になってくる患者さんも多いかと思います。

さて、それでは実際のところ重症COVID-19でどれくらい身体機能が低下するのでしょうか。ブラジルから重症COVID-19に罹患した患者さん328人の解析結果が報告されました。もともとADLが自立していた患者さんが対象となり、3群に分けての解析されています。

1)退院時にADLが低下しなかった群(144人、44%)
2)ICU退室時にはADLが低下したが、退院時には改善した群(109人、33%)
3)ICU退室時にはADLが低下し、退院時にもADLが低下した群(75人、23%)

解析結果です。ICU退室時のADL低下の原因となったのは、
離床の遅れ オッズ比 1.20(95%CI 1.11-1.29)
年齢 オッズ比 1.02(95%CI 1.01-1.04)
高血糖 オッズ比 2.52(95%CI 1.56-4.07)
SAPS(重症度のスコア)オッズ比 1.02(95%CI 1.01-1.04)

ICU退室時にはADLが低下したが退院時の改善と関係していたのは
ICU滞在日数 オッズ比 0.97(95%CI 0.94-0.99)
ICU退室時の筋力であるMRCスコア オッズ比 1.13(95%CI 1.08-1.18)

つまり、高齢で高血糖で重症で離床が遅い患者さんではICU退室時のADL低下につながります。やはり重症COVID-19においても離床がとっても重要ということが分かります。そしてICUの早期退室や筋力が退院時のADL良好な指標となるため、長期間ICUに滞在した患者さんや筋力が低下した患者さんでは、ICU退室後のリハビリが重要になってくると考えられます。

私たちの生活はCOVID-19で一変しました。面会もできない、リハビリもできない、入院もできない。しかし、少しずつ希望がもてる社会になってきたように感じます。多くの患者さんが自立した生活ができるように、早期離床、継続したリハビリをしていきましょう!COVID-19のない社会までもう少しと信じています。

文献リンク
Functional Recovery Groups in Critically Ill COVID-19 Patients and Their Associated Factors: From ICU to Hospital Discharge
https://journals.lww.com/ccmjournal/Fulltext/9900/Functional_Recovery_Groups_in_Critically_Ill.48.aspx