日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【ついに出た!筋萎縮の結論】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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皆さま筋萎縮ゼロプロジェクトをご存じでしょうか?

重症疾患の筋萎縮をゼロにして社会復帰を目指すことを目標にSNSを楽しみながら自由気ままに頑張っている、自分のプロジェクトです(笑)

今回紹介する文献は、その筋萎縮の程度に関するシステマティックレビューの文献です!!ついに筋萎縮の結論がでた!って感じです。筋萎縮ゼロプロジェクトの研究も引用されていて感動しました(泣)。やってきてよかった…

イギリスのHardyさんらは29件の研究のシステマティックレビューを行いました。12件(140人)は健常な方をベッド上で安静にした研究です。なかなか酷な研究ですが…

18件(516人)は重症患者さんを対象とした筋萎縮の研究です。健常な方をベッド上安静にした研究では大腿四頭筋の筋萎縮が14日目で6.5%、28日目で9.1%、下腿三頭筋では14日目で7.8%、28日目で11.2%と筋萎縮の程度は徐々に緩やかになっていくようです。一方で重症患者さんでは大腿四頭筋の筋萎縮が7日目で13.2%、14日目で28.2%と一定の割合でどんどん筋萎縮が進行していきます。

重症患者さんでは不動化のみでなく、炎症、異化亢進、栄養不良、薬剤、虚血など、様々な原因で筋萎縮が進行していきますが、この結果をみると、いかに筋萎縮が予防しないといけない重要な問題か分かるかと思います。

一方で、全ての患者さんを含めて筋肉の部位別にみるとどうでしょうか。下腿三頭筋では28日目に11.2%、大腿四頭筋では28日目に9.2%、ハムストリングでは28日目に6.5%、足の背屈筋では28日目に3.2%と筋肉により筋萎縮の程度が異なることも報告されました。

ここ数年で、重症患者さんの筋萎縮が大きな問題であるという研究は、ほぼでつくしたように思います。それではこれからどうしていけばよいでしょうか。

筋萎縮と戦っていくしかありません。理学療法士さんや作業療法士さんのリハビリ、栄養士さんの栄養介入、言語聴覚士さんの摂食介入、薬剤師さんの薬剤管理、医師の治療と、看護師のケア、多職種で戦っていくしかないですね。全員で筋萎縮ゼロを目指していきましょう!目指すは社会復帰です!!

筋萎縮ゼロプロジェクトの応援もよろしくお願いします(笑)

文献リンク
The time course of disuse muscle atrophy of the lower limb in health and disease
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.13067