日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【Dr. 中西の離床面白エビデンス】糖尿病患者さんのサルコペニア対策

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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急性期から十分離床ができてますか?離床が進まない患者さんには神経筋電気刺激療法(EMS)です!私はEMS信者の1人のなでバイアスありありですが(笑)

さてさて、EMSがどのような患者さんで有効なのか新たなエビデンスが報告されました。

Takinoらは心血管疾患術後の65歳以上で糖尿病のある患者さんでEMSの無作為化比較試験を行いました。EMS 90人、対照群90人の大規模RCTです。急性期の術後1週間にEMSを使用しました。主要評価項目の膝伸展力の術前から術後1週間での変化はEMS群で-2%、対照群で-13%, p < 0.001とEMSで有意に膝伸展力の低下を抑えることができました。二次評価項目は通常歩行速度、最高歩行速度、握力では最高歩行速度だけ有意差があったようです。

今回の対象基準となった高齢、糖尿病というのはまさに二次性サルコペニアのリスクのある患者さんです。つまり、筋力低下が起こりやすいような患者さんではEMSは重要な治療手段になりそうです。明日から高齢の糖尿病患者さんを探してしまいそうです。EMS信者のバイアスのあるかもしれない論文紹介でした。

日本中の医療施設が大変な状況ですが、コロナに負けずに明日もリハビリを頑張っていきましょう!

文献リンク
Neuromuscular electrical stimulation after cardiovascular surgery mitigates muscle weakness in older individuals with diabetes
https://europepmc.org/article/med/35272065

この情報が皆さんの診療に役立つことを願っております。

[離床のエビデンスや進め方を学びたい方は]
10月15日(土) 10:00~16:10 ※2週間見逃し受講期間有り
早期離床のリスク管理 ~「起こしたから悪くなった」といわれないために~
【講師】曷川 元 先生
https://www.rishou.org/seminar/basic/k02-2022#/