日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【Dr. 中西の離床面白エビデンス】脳卒中でICU-AWは起こらない!?

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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そもそもICU-AWってどのように評価するのでしょうか。もっともよく使用されるのは2009年のStevensらの診断基準です。以下の1から4を全て満たす場合にICU-AWと診断されます。

1.重症疾患罹患後の全身の筋力低下
2.近位、遠位筋を含み、左右対称性、弛緩性、脳神経は障害されないびまん性の筋力低下
3.MRCスコア<48、平均MRCスコア<4 (24時間以上あけて2回)or 人工呼吸管理
4.原疾患以外に筋力低下を来す原因がない

脳神経は障害されないってことは、脳卒中は除外されると勘違いされがちです。実はICU-AWの厳密な診断は神経電動速度や筋生検などで行います。Inanらは24人の重症脳卒中患者がICU-AWかどうかについて、神経電動速度、筋生検などを非麻痺側で行い調査しました。24人中、8人(33%)が神経電動速度の低下・筋萎縮などでICU-AWの診断に合致しました。つまり、重症脳卒中患者の中にもICU-AWになる患者さんが存在するということです。しかも3割です。

Stevenさんどういうこと!?って感じかもしれませんが、実は脳神経が障害されないといっているだけで、脳卒中を除外するとは記載してないんですよね。Stevenさんは悪くないんです(泣)さすが、2009年から不動の診断基準です。さあ、それでは今日もICU-AWを評価して、リハ栄養していきましょう!!

文献リンク
Berin Inan et al.Multimodal assessment of intensive care unit-acquired weakness in severe stroke patients. Acta Neurol Belg. 2022 Jul 6.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35790678/

この情報が皆さんの診療に役立つことを願っております。