日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.714 【まず“守って”から整える】半月板損傷の痛みとアライメント、どちらを優先?

質問

半月板損傷により膝内側に痛みがあり、立位・歩行時の姿勢アライメントが崩れている患者さんがいます。痛みとアライメント異常、どちらを優先してアプローチすれば良いですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

結論から言うと、まずは痛みのコントロールを優先し、そのうえでアライメントを整えていくイメージが大切です。半月板損傷で膝内側が痛い場合、多くは内側コンパートメントへの過負荷と、防御的な姿勢が組み合わさっています。痛みが強い段階で無理にアライメントだけを矯正すると、かえって半月板への剪断ストレスを増やす可能性があります。

そのため第一段階では、杖や歩行補助具の使用や、外側ヒールリフト・インソール調整などで内側荷重を減らし、痛みの出ない範囲で荷重位の軽い屈伸や左右の荷重分配練習を行います。同時に、大腿四頭筋だけでなく中殿筋や大殿筋など股関節周囲筋の軽めの筋活性化を図り、内側に集中している荷重ラインを修正する下準備をしていきます。

これは一見「痛みへのアプローチ」に見えますが、実際にはその後のアライメント修正の土台づくりにもなっています。

さらに歩行では「膝で支える」のではなく「股関節で支える」ことを意識させ、踵接地時に股関節外転・外旋が働くような指導を行うことで、股関節から足部まで含めた下肢全体のアライメントを再学習していきます。

つまり、まずは痛みを増悪させない範囲で内側コンパートメントを守り、そのプロセスの中で荷重ラインと筋活動パターンを調整しながら整えていく、という二段階で考えると、痛みとアライメントの両方に無理なくアプローチしやすくなります。是非、症状や問題点が複数あるケースのアプローチの参考にしてみてください。