
質問
血栓溶解療法(t-PA)後の離床は何に気を付ければいいですか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
ズバリ、血圧管理と出血性梗塞の2つに注意しましょう。
血圧管理は通常の脳梗塞では、200/120 mmHgを超えない限り積極的降圧治療はせず、血圧を高めに維持します。しかし、t-PAは出血リスクがあるため、これよりも血圧を低めに管理します。特にt-PA投与後24時間以内の高血圧は予後を悪化するリスクがあるため、180/105 mmHg以下に血圧を管理することが推奨されています。24時間後に離床を開始する場合には、血圧の上限値について主治医を含めたチームで相談しましょう。
また、出血性梗塞もt-PA後に注意すべき合併症です。出血性梗塞は、脳梗塞になった領域に、二次的に脳出血が起こる病態です。出血性梗塞を予防するためには、前述の通り高血圧を回避することが重要となるため、離床時の動作や息こらえなどで、血圧が上昇しないように注意しましょう。出血性梗塞が生じた場合は、運動麻痺の進行や、意識レベル低下、言語機能の低下などが認められるため、症状の悪化を疑った場合には、迷わず報告することも大切なリスク管理です。
t-PAの効果がみられて、症状が改善しても、血圧と出血性梗塞に注意して離床を行うようにしましょう。
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