日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.622 【離床時の息切れにはこう対策!】COPDに関するQ&A

質問

動作時に息切れがひどいCOPD患者さんがいます。どのように指導したらいいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

動作時には「フ―」と息を吐くようにして、動作と呼吸が同調するように患者さんに指導しましょう。

COPD患者さんは、気道の通り道が狭くなり、息を吐き切ることが難しいために、肺に空気が残っている状態です。動作時に、新しい空気を取り入れようと思っても、十分に息を吸うことができないため、息切れしてしまいます。そのため、肺に残っている空気を出し切るイメージで、細く長く息を吐くように伝えましょう。

たとえば、次のように離床時の動作と呼吸を合わせていきます。歩行では、歩き出す前に息を吸い、4歩歩く間、息を吐き続ける、次の2歩で息を吸う、階段昇降では、1.階段を昇降する前に息を吸う、4段上り下りする間に息を吐き続ける、.立ち止まって2秒間かけて息を吸う、などのように指導します。

ポイントは、上記のように歩数で呼吸のタイミングを強制すると、逆に苦しいと訴える患者さんがいるので、その場合は歩数は規定せずに、「呼吸を止めないで、吐く」と指導することです。更衣動作では、動作前に息を吸う、息を吐きながら服を着る、一つの動作後は休憩して息を整えてSpO2をチェックする、というように指導しましょう。

呼吸の指導とともに、息切れが起こりにくい姿勢のアドバイスも大切です。他にも、肩より手を上に上げたり、前かがみになったりすると息苦しさが増すため、食事や歯磨きの際には机に肘をついて行うなど、患者さんの生活スタイルに合わせて、動作方法や環境設定を確認していきましょう。