質問
慢性呼吸不全の患者さんに生じるバチ状指ですが、温熱療法・手指運動など、指先の血流をよくすると、改善することもあるのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
バチ状指の原因は、低酸素により血小板由来成長因子(PDGF)と血管内皮成長因子(VEGF)の放出が増加し、毛細血管分布と組織結合の変性を起こすと考えられています(文献1-2)
バチ状指の原因が、血流のうっ滞による局所の低酸素状態である場合、温熱療法・手指運動など、指先の血流をよくすると、改善する可能性はあります。
しかし、現実的にはバチ状指を呈するまでに相当時間経過しており、 すでにバチ状指として器質化してしまっている可能性は高いので、形状が元に戻ることはあまり期待できません。バチ状指が原因でADLに支障がある場合は、自助具の使用などを作業療法士と相談して介入すると良いと思います。
文献1
Tucker JR. Nail Deformities and Injuries. Prim Care. 2015 Dec;42(4):677-91.
文献2
Baran R. [The use of nails to diagnosis diseases]. Presse Med. 2014 Nov;43(11):1208-15.