日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.608 【その痛みはどこから?】離床時の痛みの訴えで考えるべきこと

質問

筋膜のネットワークは感覚受容器の働きもしているということですが、骨格筋よりも感覚受容器は多いって本当ですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

本当です。胸腰筋膜と広背筋を比較した研究では、胸腰筋膜の方が3倍の密度で感覚受容体が存在したと報告されています(文献1)。

この感覚受容器が多いというのは重要です。例えば、離床時に腰痛を訴える患者さんがいた時に、その痛みは筋膜の問題で生じている可能性が高いと考えられます。感覚受容器は痛み以外にも、動きの感知にも関わるため、筋膜の滑走性が悪くなっている場合には、離床時のバランス障害や、可動域の低下からADL低下につながる可能性があります。

これらのことから臨床では、個々の筋をイメージして介入するというよりも、筋膜ネットワーク・構造をイメージしながら、評価・アプローチを進めていくことで、運動と感覚の回復の促進や、痛みの改善につながる可能性があります。是非、意識してみてください。

Suarez-Rodriguez V, Fede C, Pirri C, Petrelli L, Loro-Ferrer JF, Rodriguez-Ruiz D, De Caro R, Stecco C. Fascial Innervation: A Systematic Review of the Literature. Int J Mol Sci. 2022 May 18;23(10):5674.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9143136/