日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.605 【自分だけ楽しんでいいの!?】予後が厳しい患者さんのケアに関するQ&A

質問

小児がんの患者さんを担当しているのですが、子供の患者さんが苦しんでいるのに自分は休みの日に楽しんでいていいのか悩むことがあります。どうすればいいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

患者さんのケアをする上で、自分の心を満たすのは重要なことです。仏教の教えに「自利利他(自利をもって利他をなせ)」という言葉があります。自分を満たしてから利他を行いなさいという意味です。利他は人のために動き、人が良くなるために尽くすことで、医療や介護、育児、家事も利他の行いです。

なぜ、利他の前に自分自身を満たすことが重要なのでしょうか。それは、自分の心が満たされていると、見返りを求めずに他人のために良い行いができるからです。たとえ相手に感謝されなくても、相手が良くなったという事実だけで自分も喜びにあふれ、満たされます。その余裕ある状態を保つことが大切なのです。自分自身が満たされていない状態で、無理をして他人のために動いても、相手の感謝がなければ不満・怒り・不安・疲れ・ストレスを生み出します。

一方、自分自身が満たされていると、ただ笑顔でそこに居るだけで周りの人を幸せな気持ちにすることができます。自分の心を満たせる複数の方法を見つけましょう。

その方法は自分一人で完結できるもので、さらに、今すぐ試せるものからお金と時間をかけて行うものまで、さまざまなレベルの方法を用意しておくとよいでしょう。リフレッシュするときは、余計な心配は置いておいて「全力で完全に楽しみ切ること」「遊んだら仕事しないと…」「食べたら太る…」などの心配があるまま取り組んではいけません。自分を満たす時間を心から楽しむ習慣をつけてくださいね。