日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.595 【目標なく介入してもダメ!】関節可動域に関するQ&A

質問

関節可動域の改善を目指すうえで、どのくらいの角度を目標にするとよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ズバリ日常生活に必要な角度を意識して、改善を目指しましょう。主な動作と各関節の関係では、表に示すような可動域が求められると報告されています(文献1,2)。

膝関節が屈曲しないと正座が困難となるように、特に日本での生活は床が中心となるため、下肢の可動域制限が生活に直接影響します。具体的には、布団ではなくベッドの導入が必要となったり、ご飯を食べるときに椅子を用意するなどが挙げられます。また、体幹の関節角度では、起き上がる際に必要な体幹屈曲最大角度は、51.3°だと報告があります(文献3)。本をめくる動作でも肩関節屈曲が 95°、肘関節屈曲が114°必要というから驚きです。

このように、関節可動域制限は、色々な場面で日常生活が困難となる原因になります。ただ関節可動域エクササイズを行うのではなく、目標とする角度を明確にして介入するようにしましょう。

文献
1) 吉元 洋一:下肢ROMとADL.理学療法学 1988;15(3):247ー250.
2) Laubenthal K N,Smidt G L,et al.A Quantitative Analysis of Knee Motion During Activities of Daily Living.Physical Therapy 1972;52:34-42.
3) 大谷 拓哉,他:起き上がり動作における関節運動の分析.理学療法科学 2018;33(4):713-718.