日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.591 【リスクを回避した投与方法とは?】酸素療法に関するQ&A

質問

CO2ナルコーシスを起こさないように、酸素を多く投与するのは危険というのはわかりますが、低酸素も怖い場合、どのように設定すれば安全ですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ターゲットレンジを用いて、幅をもって設定するのがお勧めです。

臨床では「酸素は足りないよりも多いほうが安心」という気持ちが働き、必要以上の高濃度酸素を投与することがあります。しかし、高濃度酸素を投与すると、CO2ナルコーシスのリスクとなるため注意が必要です。CO2ナルコーシスは、過剰な酸素投与によって急激に二酸化炭素が体内に増加し、意識障害を起こすものです。CO2ナルコーシスを回避するためには、必要最低限の酸素流量を提供する必要がありますが、酸素流量が足りずに低酸素血症を起こしては元も子もありません。

そこで、SpO2のターゲットレンジという考え方があります。ターゲットレンジとは、目標範囲のことで、基本的にはSpO292% から96% で設定、慢性呼吸不全など二酸化炭素が蓄積しやすい患者さんでは、88%から92%を目標範囲に設定するというものです。上記のような幅をもって目標を設定し、目標範囲から外れたときの酸素デバイスの変更や、流量設定についてアルゴリズムをチームで相談して、安全な投与を検討しましょう。